New Food Industry 2024年 66巻 3月号

シリーズ EQUATOR Networkが提供するガイドラインの紹介
Guidelines for Reporting Outcomes in Trial Reports The CONSORT-Outcomes 2022 Extensionの和訳

著者:Nancy J. Butcher, PhD; Andrea Monsour, MPH; Emma J. Mew, MPH, MPhil; An-Wen Chan, MD, DPhil; David Moher, PhD; Evan Mayo-Wilson, DPhil; Caroline B. Terwee, PhD; Alyssandra Chee-A-Tow, MPH; Ami Baba, MRes; Frank Gavin, MA; Jeremy M. Grimshaw, MBCHB, PhD; Lauren E. Kelly, PhD; Leena Saeed, BSc, BEd; Lehana Thabane, PhD; Lisa Askie, PhD; Maureen Smith, MEd; Mufiza Farid-Kapadia, MD, PhD; Paula R. Williamson, PhD; Peter Szatmari, MD; Peter Tugwell, MD; Robert M. Golub, MD; Suneeta Monga, MD; Sunita Vohra, MD; Susan Marlin, MSc; Wendy J. Ungar, MSc, PhD; Martin Offringa, MD, PhD

和訳:鈴木 直子 (SUZUKI Naoko),野田 和彦 (NODA Kazuhiko),波多野 絵梨 (HATANO Eri), 髙橋 徳行 (TAKAHASHI Noriyuki),中村 駿一 (NAKAMURA Shunichi),LIU XUN, 柿沼 俊光 (KAKINUMA Toshihiro),馬場 亜沙美 (BABA Asami),山本 和雄 (YAMAMOTO Kazuo)

本項について  本稿は,EQUATOR Networkが提供するガイドラインの一つである「Guidelines for Reporting Outcomes in Trial Reports The CONSORT-Outcomes 2022 Extension」の本文を翻訳したものである。なお,付録は原文(doi: 10.1001/jama.2022.21022)にアクセスして参照する。また,表1は「Guidelines for Reporting Outcomes in Trial Reports The CONSORT-Outcomes 2022 Extension」で拡張された項のみを抽出した。

何千年も続くパン

瀬口 正晴(SEGUCHI Masaharu)

スイスのパン研究者 Max Wahrenの著書 "Brot seit Jahrtausenden" 中のパンの写真は素晴らしい。 2023年11月5日放映,読売テレビ番組・鉄腕DASHから大麦パン,マザイの取材を受け,この本を使って協力したことから古いパンのことが気になりここにまとめました。  元々,野生小麦の生えていたところは,ユーラシア大陸のど真ん中,中近東地域であったと言われています。今でも車でこの近辺を走ると,道路脇には背丈の低い,貧弱な野生の小麦が生えていると言われてます。小麦は何千年も昔,この近辺の人々によって栽培され,貴重な穀物として食されていただろうし,彼らはその小麦の持つ独特のおかしさ,つまりダンゴ状にしたり,延ばしたり,ちぢめたり,自由自在の形を変えられるということに気がついていたはずです。そういうことで大切にされていた小麦が,人の集まる集落から次の集落へと次第に東へ,西へ,南へ,北へと伝わっていったのだと思われます。何千年の年月をかけて広がるうちに東の果ての中国まで来ると,小麦はメンの文化として開花し,西の方では古代エジプト,ギリシャ,ローマ等でパンの文化として開花してゆくのです。遠く離れた東と西で,小麦はそれぞれメンとパンというように全く形の違う食品として開花したのは面白いことです。しかし何れも小麦の持つ独特のグルテンの性質を非常に巧みに利用し,片や極細の1本の糸として,片や薄膜のスポンジとして利用しているのです。

連 載 乳および乳製品の素晴らしさ 第5回
牛乳中の乳糖の神秘性と乳糖不耐の克服
ミルクの唯一の糖質である乳糖の不思議,乳糖不耐の克服方法

齋藤 忠夫(SAITO Tadao)

今回は牛乳に含まれる成分の中で,最も多く含まれる成分であり,かつ唯一の糖質である「乳糖」の特徴と機能性について解説します。また,日本人を含むアジア民族やアフリカ民族に多い牛乳を飲むとお腹がごろごろする「乳糖不耐」について,その発症する理由についての説明と克服方法の提案をしてみたいと思います。

にじカフェの紹介
コミュニティカフェでのハーブ活用の可能性

二見 萌(FUTAMI Moe)

コミュニティカフェをご存知でしょうか。通常のカフェと違い,地域交流などのつながりの場として使われています。人との関係が希薄になっている今,必要性も徐々に認識されてきています。  私たちの運営する「にじカフェ」の目的は【人生を最後まで楽しむ!を応援する】というテーマを掲げており,通常のカフェにコミュニティ要素を取り入れたスタイルのお店です。  きっかけは,現役看護師の代表が,美味しいコーヒーを飲みたいという些細な希望を諦めている患者さんに出会い,心身にハンデがあっても日常を過ごせる場所を作りたい。と思ったことでした。その想いに賛同したメンバーで立ち上げました。

伝える心・伝えられたもの
—阿里山便り 茶畑と森林鉄道—

宮尾 茂雄(MIYAO Shigeo)

2023年9月下旬,まだ暑さの厳しい台湾を訪れた。今回は台湾南部にある嘉義(Chiayi)から阿里山(Alishan;玉山の西方,南北にわたる一帯の連山)と奮起湖(Fenchihu)を訪ねた。以前からあこがれていたの阿里山林業鉄路の阿里山号 (Alishan Express) にも乗車した。 阿里山の茶畑  嘉義駅を午前9時30分頃に出発したバスに乗って1時間余り,石棹(Shizhao)茶街に到着した。下車したのは,大きな荷物を抱えた中年の女性と私たちだけだ。グーグルマップによれば,ここから奮起湖老街までは徒歩6.4km,1時間37分の行程で,標高1445mの峠までは登り坂,そのさきは緩やかな下り道になる。

世界のメディカルハーブ No.18
アーティチョーク

渡辺 肇子(WATANABE Hatsuko)

苦味で肝臓のはたらきを守るハーブ  アーティチョークは地中海沿岸から中央アジア原産の植物です。棘のない品種をアーティチョーク,棘のある品種をカルドンとして区別することもありますが,詳細な分類には諸説あります。日本ではいずれの品種も「外国から来た」との意味から,チョウセンアザミと呼ばれます。