New Food Industry Vol.68, No.7 (2026)記事内容

原 著
茶不定胚と茶樹の新芽におけるカフェインおよびその関連化合物,
カテキン類およびテアニンの含有量


古川 一実 (FURUKAWA Kazumi),𠮷川 禮音 (YOSHIKAWA Reon),芳野 恭士 (YOSHINO Kyoji)

Contents of caffeine and the related compounds, catechins,
and theanine in tea somatic embryos and shoots of tea plant

Authors: Kazumi Furukawa 1, Reon Yoshikawa 1, Kyoji Yoshino 1*
Corresponding author: Kyoji Yoshino
Affiliated institution:
1 Department of Chemistry and Biochemistry, National Institute of Technology, Numazu College
[3600, Ooka, Numazu-shi, Shizuoka 410-8501, Japan]

Abstract
  In this study, we measured the contents of caffeine, its related compounds, catechins, and theanine, which are major metabolites of tea plants (Camellia sinensis L.), in the yellow somatic embryos of cultivar ‘Sayamakaori’ and cultivar ‘Tingamira normal’ using high performance liquid chromatography. The caffeine contents in the somatic embryos of ‘Sayamakaori’ and ‘Tingamira normal’ were 0.600 mg% (w/dw) and 0.413 mg% (w/dw), respectively, and theobromine, theophylline, and paraxanthine were not detected. The total contents of catechins were 147.4 mg% (w/dw) and 165.4 mg% (w/dw), respectively, which was extremely low compared to those of the leaves and stems in the plants, as was the case with caffeine. In particular, (-)-epigallocatechin gallate (EGCG), a major catechin in tea leaves, was only present in small amounts in the somatic embryos. The theanine contents were 1.91% (w/dw) and 0.97% (w/dw), which were similar to those in the leaves. Next, the contents of these components in the leaves and stems near the growing point of new shoots of cultivar ‘Sayamakaori’ and cultivar ‘Makura-Ck2’ were measured. Caffeine, its precursor theobromine, EGCG, and theanine all tended to decrease with distance from the growing point. Though, the contents in each part of the tea plants varied depending on the type of catechins. Furthermore, the contents of caffeine, theobromine, and EGCG in the stem were lower than those in the leaves, but the contents of theanine were higher in the stems. In the future, it will be necessary to collect more detailed information on the metabolic pathways and their activities of the various components contained in tea plants in order to regenerate the somatic embryos into plants, and/or to use the calli and somatic embryos for the production of useful substances.

茶(Camellia sinensis L.)は世界中で嗜好品として飲用されており,主な旨味成分としてストレス軽減作用のあるテアニン等の遊離アミノ酸類が知られている1-3)。さらに,その葉には中枢神経を刺激する作用のあるカフェインや,生活習慣病を予防する効果のあるカテキン類などの保健機能成分も含まれている3, 4)。このような茶の成分に関する品質向上のための茶の新たな品種育成を促進するためには,今後ゲノム編集等の技術が有用であると考えられる。そのため,近年,茶の組織培養物から不定胚を介しての植物体の再生5-9)や組織培養物を用いた上記の成分の代謝系の解明10-12)などに関する多くの研究が行われるようになった。しかしながら,ツバキ属植物の不定胚はその増殖率が低く,幼植物体を育成するまでに長期間培養が必要であるなどの問題があることに加え6),そのツバキ属植物の中でも特に茶において,椿(C. japonica)や山茶花(C. sasanqua),島山茶花(C. brevistela)に比較して子葉培養における不定胚分化率が低いことが報告されている13)。茶樹はヘテロ接合性であることから,親植物のクローンを生産するためには,子葉以外の葯や茎,葉などを用いたカルス形成,不定胚分化および植物体の再生のために必要な安定した条件を引き続き検討していく必要がある14)。
 本研究では,種子胚に似た培養物であり8, 15),不定胚表皮細胞由来の二次胚を形成して増殖し,条件によっては緑色化や個体への分化誘導を起こすことで形質転換個体の作出に繋がることが期待できる茶不定胚について,その成分代謝系を検討する目的で,カフェインおよびその関連化合物と主要なポリフェノール成分であるカテキン類,およびテアニンの含有量を測定した。また,茶の組織培養に有用と思われる品種の新芽中の同成分の含有量についても検討を行った。

研究解説
日本で流通するハチミツの機能性研究の現状と国産ハチミツの将来性


高橋 純一(TAKAHASHI Jun-ichi)

Current Status of Research on Functional Properties of Honey Distributed in Japan and the Future Potential of Domestic Honey

Corresponding author: Jun-ichi Takahashi
Affiliated institution:
Faculty of Life Sciences, Kyoto Sangyo University and Ecological Service Research Center, Kyoto Sangyo University
[Kitaku, Kamigamo, Motoyama, Kyoto, Kyoto, 603-8047, Japan ]

 ハチミツは古くから甘味料として利用されてきた自然食品である1)。食品市場においては,ハチミツ蜜源に基づき,植物の花蜜に由来するハチミツと,吸汁性昆虫の排泄物あるいは植物体由来の糖質性分泌物に由来する甘露蜜(Honeydew)に大別される2, 3)。花蜜由来ハチミツのうち,特定の植物種に主として由来し,その植物種に特徴的な花粉組成,官能特性,理化学特性を示すものを単花蜜(Monofloral honey)という。複数の植物種に由来し,特定の植物種が優占しない花蜜ハチミツを百花蜜(Multifloral honey)という。単花蜜と百花蜜は花蜜由来ハチミツの内部区分であり,甘露蜜はそれらとは異なる起源をもつ別区分として位置づけられる4)。近年は,蜜源の種類に加えて,風味,色調,結晶性,産地といった伝統的な品質要素に加え,抗菌性,抗酸化性,抗炎症性,創傷関連作用,美容・口腔ケアへの応用可能性など,多面的な価値を有する食品として再認識されつつある5, 6)。ハチミツの評価軸は,従来の嗜好的価値を中心とする段階から,生理活性や利用目的を含む複合的な段階へと変化してきたと考えられる。この変化は,日本市場における海外産ハチミツの受容の推移をみることによって理解できる。日本で日常的に食されてきた海外産ハチミツは,主に2つの側面で市場を形成してきた。一つはアカシアハチミツ(図1a)に代表される,結晶化しにくく穏やかな風味を持つ嗜好性重視の製品であり,もう一つは中国や南米産に代表される,安価で汎用性の高い実用性重視の製品である。そこでは,ハチミツは主として甘味料あるいは食品素材として位置づけられ,その評価もまた,味,香り,色調,舌触り,価格といった商品学的・嗜好的特性に大きく依存していた1, 3)。
 この状況は2000年代になると,マヌカハチミツ(図1b)の登場と普及によって大きく変化した7, 8)。マヌカハチミツは,個性的な風味をもつハチミツとして知られるだけでなく,抗菌性や創傷管理への応用可能性を有するハチミツとしても広く認知されるようになった。その結果,日本の消費者市場においても,ハチミツを美味しいかどうかという嗜好的観点のみならず,健康面でどのような機能をもつかという観点から選択する購買様式が形成された(図1)。これは,ハチミツの価値づけを,従来の嗜好性中心の評価から,生理活性や用途を含む評価へと拡張した現象として理解することができる。その後,このような機能性重視の見方は,海外産のハチミツを中心に広がり,一部の国産ハチミツにも同様の機能性が期待されるようになった。現在,特定のハチミツが市場で注目される背景には,抗菌作用,抗酸化作用,抗炎症作用,創傷治癒促進,発酵特性,香気特性など,科学的に説明可能な特徴への関心がある。しかし,これらの特徴がすべて同じ水準の科学的根拠に支えられているわけではない。基礎研究,応用研究,臨床研究が比較的蓄積しているハチミツもあれば,限られた試験成績や商品イメージが先行して評価されているハチミツもある。したがって,ハチミツの機能性を論じる際には,健康によい,抗菌性がある,といった総称的表現にとどまらず,蜜源植物や産地の違いを踏まえたうえで,各種ハチミツがいかなる評価系において,何を対象に,どのような作用を示したのかを個別に整理する必要がある。さらに,それぞれの知見が,どの程度の再現性と妥当性を備えた研究によって支持されているのかを見極める視点も不可欠である。このような視点は,食品産業の側にとっても重要である。ハチミツを原料,素材,あるいは製品として扱う際には,従来のように風味や価格のみで整理するのでは不十分であり,どのようなハチミツが,どのような機能性を背景として市場で認識されているのかを理解する必要がある。将来的に特定のハチミツを強いブランドとして確立し,あるいは機能性食品として位置づけることを考えるならば,経験的評価や地域的知名度のみでは不十分である。名称,由来,成分,作用,表示が相互に整合したかたちで提示されることが必要であり,そのためには研究の蓄積が不可欠となる。ハチミツの機能性は,単なる販売上の付加価値ではなく,科学的視点に基づいて位置づけられるべき対象となっている9)。
 本稿では,このような背景を踏まえ,国内で流通するハチミツの機能性研究の現状を整理する。まず,海外産のハチミツ研究がどこまで進展しているのかを確認し,そのうえで国産ハチミツ研究がどのような特徴をもち,どのような点で独自性を示し得るのかを検討する。さらに,国内でのみ生産可能なセイヨウミツバチの単花蜜や,ニホンミツバチ由来百花蜜のような独自性の高い試料を,学術的および産業的にどのように位置づけるべきかを考察する。

解 説
一臨床医から見た血管の健康―
―食事と運動の効能―


窪田 倭(KUBOTA Sunao)

 わが国の2024年の平均寿命は,男子81.09歳,女子87.13歳であり超高齢化社会になっている1)。一方,健康寿命(2022年)は男子72.57歳,女子75.45歳と,平均寿命に対して約10年前後の開きがある1)。この開きは,男女の人生終末期約10年間は日常活動ができない,いわゆる寝たきりの状態となっていることを示している。この遠因として,壮年期の生活習慣病である糖尿病や高血圧症,脂質異常症(高脂血症),肥満などが挙げられている。いずれの疾患も動脈硬化を伴うことによる主要臓器への血流が減少し,最終的にはその臓器が機能不全を引き起こすことによる。具体的には心筋虚血から心筋梗塞へ,脳内血流不全から脳梗塞へ,糖尿病性細動脈硬化による腎不全へと進展して,結果として死亡原因の上位を占めている。しかも,死亡を免れても人生の終末期には寝たきり状態へと陥る。これら生活習慣病に対して治療薬剤の開発が進められて貢献してきたが,わが国の2024年の糖尿病患者数は550万人,高血圧症は1,600万人,心疾患(狭心症,心筋梗塞)は127万人,脳血管疾患は174万人と報告されている2)。さらにこれら生活習慣病に係る医療費は,高血圧症では1兆7,050億円,糖尿病では1兆1,997億円,心疾患では6,717億円,脳血管疾患は1兆8,051億円で,総医療費の約10%を占めている2)。したがって,費用対効果の面から検討すべき課題でもある。
 費用対効果の効果の面に大きく影響するのが,日常生活における食事の乱れや運動不足が挙げられる。半世紀以上前には食事の乱れは,三大栄養素やビタミンあるいはミネラル摂取不足に起因する疾患(多くは感染症)であったが,現在は栄養素(食事)の過剰摂取による疾患(生活習慣病)が引き起こされている。体内に取り入れた栄養素(食事)の多くは完全に燃焼されるが,コレステロールのように燃焼しない化合物がある。コレステロールは細胞にはとっては必須の構成成分である。それ故に,ヒトはコレステロールを自己で賄える機能を進化の過程で獲得するとともに,体外に排泄するよりも体内に保持し再利用する機構を獲得した。その結果,余剰のコレステロールは血液中に滞留し,やがて動脈血管壁に沈着し動脈硬化性疾患(生活習慣病)を引き起こす。生活習慣病の基礎病態としての動脈硬化発症には,コレステロールの中でも低密度リポ蛋白質コレステロール(LDL-C)が関わっている3)。高LDL-C血症に対して薬剤の効果が証明されているが4),いったん形成された動脈硬化を正常な血管に戻すことは不可能である。常日頃から血管の健康維持が必要なるゆえんである。
 高齢化の進行や生活習慣病罹患者およびその予備軍の増加により,わが国において健康寿命の延伸と同時に医療費の抑制が課題となっている。その解決ためには生活習慣病の元である動脈硬化の予防,すなわち「血管の健康維持」,そのための「食生活と運動の改善」が重要視されており,関心も高まっている。本論文に於いて血管の健康維持,すなわち動脈硬化予防,延いては生活習慣病予防としての食事と運動の効能について述べる。

「世界イタリア研究の日 2026」に出席して—
国籍や学閥を超えた,グローバルで自律的な研究環境が導く独創性


坂上 宏(SAKAGAMI Hiroshi),勝又 明敏(KATSUMATA Akitoshi),中嶌 裕(NAKAJIMA Hiroshi),大友 克之(OHTOMO Katsuyuki)

In attendance at the Italian Research Day in the World 2026−
Originality fostered by a global and autonomous research environment that transcends nationality and academic cliques

Authors: Hiroshi Sakagami 1*, Akitoshi Katsumata 2*, Hiroshi Nakajima 3, Katsuyuki Ohtomo 4
*Corresponding author: Hiroshi Sakagami 1, Akitoshi Katsumata 2
Affiliated institutions:
1 Meikai University Research Institute of Odontology (M‑RIO)
2 Asahi University School of Dentistry
3 President of Meikai University
4 President of Asahi University

Abstract
  In Italian Research Day in the World 2026, which marks the 160th anniversary of the Japan–Italy Science and Technology Agreement, twenty‑two presentations were delivered across four sections: Quantitative Biology, Life Sciences, Mechanics and Fluid Dynamics, and Mathematics and Theoretical Sciences. Japan and Italy share notable geographical similarities as volcanically active, elongated countries surrounded by the sea, and a number of compelling studies on the marine environment were introduced. It was particularly fascinating to learn that, in addition to genetic mutations, insertions and deletions, transcriptional and translational errors, protein complexes, and metabolic pathways, the evolution of proteins may also involve duplication and fusion of simple peptides or domains. Equally intriguing was the suggestion that neurodegenerative diseases and aging may share a common mechanism mediated by NAD+. The vision of creating a global and autonomous research environment—one in which researchers from around the world engage in discussion in English, pursue truth without being influenced by short‑term outcomes or political considerations, and transcend national and academic boundaries—was truly inspiring.

 イタリアと日本の科学技術協力協定は,1988年10月7日に東京で署名され同年に発効された。沖縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Science and Technology, OIST)は2011年11月1日,沖縄県国頭郡恩納村に,文部科学省ではなく内閣直轄で設立された。日本政府は,同年,OISTと協力して世界イタリア研究デーを取り決めた。

シリーズ EQUATOR Networkが提供するガイドラインの紹介
Enhancing reporting quality and impact of early phase dose-finding clinical trials:
CONSORT Dose-finding Extension(CONSORT-DEFINE)guidanceの和訳


Japanese translation of “Enhancing reporting quality and impact of early phase dose-finding clinical trials:
CONSORT Dose-finding Extension (CONSORT-DEFINE) guidance”


翻訳 馬場 亜沙美 (BABA Asami),鈴木 直子 (SUZUKI Naoko),田中 瑞穂 ( TANAKA Mizuho),山本 和雄 (YAMAMOTO Kazuo)

Authors:
Christina Yap 1, Olga Solovyeva 1, Johann de Bono 1, 2, Jan Rekowski 1, Dhrusti Patel 1, Thomas Jaki 3, 4, Adrian Mander 5, Thomas R Jeffry Evans 6, Richard Peck 7, 8, Kathryn S Hayward 9, 10, Sally Hopewell 11, Moreno Ursino 12, 13, 14, 15, Khadija Rerhou Rantell 16, Melanie Calvert 17, 18, 19, 20, 21, Shing Lee 22, Andrew Kightley 23, Deborah Ashby 24, An-Wen Chan 25, Elizabeth Garrett-Mayer 26, John D Isaacs 27, 28, Robert Golub 29, Olga Kholmanskikh 30, 31, Dawn Richards 32, Oliver Boix 33, James Matcham 34, Lesley Seymour 35, S Percy Ivy 36, Lynley V Marshall 1, 2, Antoine Hommais 37, Rong Liu 38, Yoshiya Tanaka 39, Jordan Berlin 40, Aude Espinasse 1, Munyaradzi Dimairo 41, Christopher J Weir 42

Translators:
Asami Baba 1*, Naoko Suzuki 1, Mizuho Tanaka 1, Kazuo Yamamoto 1
*Correspondence author: Asami Baba

Affiliations (Authors):
1 Institute of Cancer Research, London SM2 5NG, UK
2 Royal Marsden NHS Foundation Trust, London, UK
3 MRC Biostatistics Unit, Cambridge University, Cambridge, UK
4 Computational Statistics Group, University of Regensburg, Regensburg, Germany
5 Centre For Trials Research, Cardiff University, Heath Park, Cardiff, UK
6 Institute of Cancer Sciences, CR-UK Beatson Institute, University of Glasgow, Glasgow, UK
7 Department of Pharmacology and Therapeutics, University of Liverpool, Liverpool, UK
8 Hoffmann-La Roche, Basel, Switzerland
9 Departments of Physiotherapy, and Medicine (Royal Melbourne Hospital), University of Melbourne, VIC, Australia
10 Florey Institute of Neuroscience and Mental Health, University of Melbourne, Melbourne, VIC, Australia
11 Oxford Clinical Research Unit, NDORMS, University of Oxford, Oxford, UK
12 ReCAP/F CRIN, INSERM, Paris, France
13 Unit of Clinical Epidemiology, CHU Robert Debré, APHP, URC, INSERM CIC-EC 1426, Reims, France
14 INSERM Centre de Recherche des Cordeliers, Sorbonne University, Paris Cité University, Paris, France
15 Health data and model driven approaches for Knowledge Acquisition team, Centre Inria, Paris, France
16 Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency, London, UK
17 Centre for Patient Reported Outcomes Research, Institute of Applied Health Research, University of Birmingham, Birmingham, UK
18 Birmingham Health Partners Centre for Regulatory Science and Innovation, University of Birmingham, Birmingham, UK
19 National Institute for Health and Care Research (NIHR) Applied Research Collaboration West Midlands, University of Birmingham, Birmingham, UK
20 NIHR Research Blood and Transplant Research Unit in Precision Transplant and Cellular Therapeutics, University of Birmingham, Edgbaston, Birmingham, UK
21 NIHR Birmingham Biomedical Research Centre, Institute of Translational Medicine, University Hospital NHS Foundation Trust, Birmingham, UK
22 Columbia University Mailman School of Public Health, New York, NY, USA
23 Lichfield, UK
24 School of Public Health, Imperial College London, London, UK
25 Department of Medicine, Women’s College Research Institute, University of Toronto, Toronto, ON, Canada
26 Center for Research and Analytics, American Society of Clinical Oncology, Alexandria, VA, USA
27 Translational and Clinical Research Institute, Newcastle University, Newcastle upon Tyne, UK
28 Musculoskeletal Unit, Newcastle upon Tyne Hospitals NHS Foundation Trust, Freeman Hospital, Newcastle upon Tyne, UK
29 Department of Medicine, Northwestern University Feinberg School of Medicine, 633 Clark Street, Evanston, IL, USA
30 Federal Agency for Medicines and Health Products, Brussels, Belgium
31 European Medicines Agency, Amsterdam, Netherlands
32 Clinical Trials Ontario, MaRS Centre, Toronto, ON, Canada
33 Bayer, Berlin, Germany
34 Strategic Consulting, Cytel (Australia), Perth, WA, Australia
35 Investigational New Drug Programme, Canadian Cancer Trials Group, Cancer Research Institute, Queen’s University, Kingston, ON, Canada
36 Investigational Drug Branch, Cancer Therapy Evaluation Program, Division of Cancer Treatment and Diagnosis, National Institute of Health, Bethesda, MD, USA
37 Department of Clinical Research, National Cancer Institute, Boulogne-Billancourt, France
38 Bristol Myers Squibb, New York, NY, USA
39 First Department of Internal Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu, Japan
40 Vanderbilt-Ingram Cancer Center, Nashville, TN, USA
41 Division of Population Health, Sheffield Centre for Health and Related Research, University of Sheffield, Sheffield, UK
42 Edinburgh Clinical Trials Unit, Usher Institute, University of Edinburgh, Edinburgh, UK

Affiliated institution: Translators:
1 ORTHOMEDICO Inc.
[2F Sumitomo Fudosan Korakuen Bldg.,1-4-1 Koishikawa,Bunkyo-ku,Tokyo,112-0002,Japan.]

本稿について
 本稿は,EQUATOR Networkが提供するガイドラインの一つである「Enhancing reporting quality and impact of early phase dose-finding clinical trials: CONSORT Dose-finding Extension(CONSORT-DEFINE)guidance」を翻訳・要約したものである。なお,付録および補足資料は原文(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10583500/)にアクセスして参照する。

要旨 [Abstract]
 臨床試験報告の統一基準(CONSORT)2010声明は,完了したランダム化比較試験を報告するための標準的なガイドラインである。臨床試験報告の統一基準用量設定拡張版(CONSORT-DEFINE)は,中間の用量増量または減量戦略を伴う早期相用量設定試験へとそのガイダンスを拡張したものである(21の新規項目と19の修正項目を追加)。これらの試験は一般に,安全性,耐容性,有効性,ならびに今後の臨床開発に向けた推奨用量および投与スケジュールの設定に焦点を当てている。しかし,これらの試験は報告が不十分であることが多く,その情報価値を損ない,エビデンスに基づいた意思決定を困難にしている。CONSORT-DEFINEガイドラインは,透明性,完全性,再現性を高め,結果の解釈を容易にするために,国際的な合意に基づく早期相用量設定試験の報告ガイドラインを開発することを目的としている。CONSORT-DEFINEガイドラインは,結果のさらなる明快さ,再現性,情報価値,および有用性を高めるために,早期相用量設定試験において報告すべき必須項目に関する推奨事項を提供する。

要約ポイント [Summary points]
◯早期相用量設定臨床試験の重要性:早期相用量設定(EPDF)臨床試験は,今後の臨床開発の土台を築き,後続の試験を導く役割を果たすため,臨床開発において不可欠である。
◯CONSORT-DEFINEガイドラインの策定:ランダム化比較試験に焦点を当てていた「CONSORT 2010声明」を拡張し,中間データに基づく用量の増量・減量戦略を伴う早期相用量設定試験への適用可能性を広げるため,新たな「CONSORT用量設定拡張版(DEFINE)」ガイドラインが策定された。
◯国際的な合意に基づく推奨項目:EQUATOR(健康研究の質と透明性を高める)の方法論的枠組みを用いた,国際的な合意形成に基づくガイドライン策定プロセスを経て,早期相用量設定試験に特有の40の項目が,臨床試験報告書に含めるべき推奨項目として採択された。
◯期待される効果:臨床試験報告書にこれらのCONSORT-DEFINE項目を盛り込むことで,早期相用量設定試験における透明性,完全性,方法論の再現性,そして試験結果の有用性が向上することが期待される。

連載
ケイリンゴ(KEI APPLE)


瀬口 正晴 (SEGUCHI Masaharu),竹内 美貴( (TAKEUCHI Miki),中村 智英子 (NAKAMURA Chieko)

 本論文「ケイリンゴ(KEI APPLE)」は “Lost Crop of Africa”volume III Fruits NATIONAL ACADEMY PRESS のKEI APPLEを紹介するものである。

 ケイリンゴ(KEI APPLE Dovyalis caffra)は,マラウイ,ジンバブエ,モザンビーク,南アフリカなどのアフリカ南部地域に自生する。果実は小さな金色のリンゴのような形をしている。たくさん実り,薄くてかたい皮の中には,黄色くとろけるようなジューシーな果肉とフルーティーな香りがある。栽培作物ではあるが,園芸的にはこの植物はあまり発展しておらず,果実は基本的にあまり利用されていない。その理由のひとつは,植物が非常にとげとげしいからである。その理由のひとつは,多くの人が果実の匂いを好まないからである。また,果肉が非常に酸っぱいという理由もある。
 ケイリンゴが酸っぱいのは,オレンジよりもビタミンCが豊富だからだ。酸味が強いので,ジャムや砂糖漬けにするのが一般的だ。しかし,生でも食べられる甘みの強いタイプも出回り始めており,これだけでもこの作物の新たな可能性が広がりそうだ。 このように厳選された種類であっても,すべての人にアピールできるわけではない。ある投稿者は,「私はこの果実の甘い形を食べたことがあるが,冷たいオートミールのような味がした」と書いている。
 背が高く,樹勢が強い灌木,緑色の葉を茂らせるケイリンゴ( この単語は「カイ」と発音し,南アフリカ東部にあるトランスケイの国境(と名前)を形成する川を指す。そこでは,この果物は 「ウムココロ 」として知られている。)は,果樹園で栽培されることもあるが,生垣や庭木として単独で栽培されることが多い。アフリカ南部や東部では,数え切れないほどの農村の生垣を形成している。気候によっては,剪定のされていない植物はかなり無骨な姿になるが,それでも優れた生垣になる。常緑であるため,一年中スクリーンを提供する一方,その長く鋭いとげは人や動物を寄せ付けない。このため,1800年代にオーストラリア北西部,セント・ヘレナ,フランス沿岸部,アルジェリア,イタリア,コスタリカ,カリフォルニアなどに導入され,現在も植えられている。

乳および乳製品の素晴らしさ 第31回
日本と世界のロングライフミルク(LL牛乳)


齋藤 忠夫 (SAITO Tadao)

 ロングライフミルク(LL牛乳)という名称は,冷蔵庫や冷却環境の外で長持ちするように特別な方法で処理された牛乳をさしています。LL牛乳を「長寿命ミルク」と翻訳している場合もあるようです。日本ではあまり知られていない牛乳であり,スーパー(マーケット)でも常温保存可能なのに一般牛乳のチルド(冷蔵)コーナーに置かれているようです。これでは,なかなか一般消費者も「常温保存可能」の特徴やメリットを感じられないのではないかと思います。世界のLL牛乳の市場は,(株)マーケットリサーチセンター(東京都中央区)の調べでは,2025年に967億9000万米ドルと評価され,2032年には1256億2000万米ドルに増加する見込みで,2026年から2032年の期間中に年平均成長率(CAGR)は3.7%と高い成長率が予測されています。LL牛乳については,連載19(牛乳殺菌の最新方法と常温保存可能なLL牛乳,Vol.67(7), 2025)で簡単に説明しました。牛乳の殺菌技術と容器への充填技術の向上に加えて,容器素材の進展も相まって実現した製品がLL牛乳だと考えられます。
 今回は,世界のとくに欧州や中国を含む東アジアで一般化されているLL牛乳が,なぜ海外では広く普及しているかを考え,今後のLL牛乳の将来像を予測してみたいと思います。